mitosaya薬草園蒸留所 GRAPPA MEETS UME BLOSSOMS 44%
mitosaya薬草園蒸留所は2017年に千葉県・大多喜町に創業。廃園になった植物園を改装して造られている。名前の由来は「実と莢」からきていて「果実だけでなく、葉や根や種、時には莢までも使い、植物の可能性を拡張し、この場所でしかできないボタニカルブランデーを生みだす」という思いが込められているとのこと。主にEau de vie(オードヴィー)をつくるクラフトディスティラリーにあたり、また創業者の江口宏志氏はブックストア経営の経歴を持つ。江口氏は、ドイツのクラフトジンであるモンキー47に感銘を受けて、そのジンの開発に携わったクリストフ・ケラー氏の営むスティーレミューレ蒸留所に住み込みで教えを乞いたとのこと。今回のボトリングはグラッパというジャンルにジャパニーズテイストが加わった瑞々しい香りと味わいを作り出している。
GRAPPA MEETS UME BLOSSOMSのリリースポイント(2019年5月に蒸留所にて配布されていた解説を参考)
山形県南陽市のワイナリー、グレープパブリックから、ナイアガラとマスカットの搾りかす(ポマース)を譲ってもらいました。まだフレッシュなポマースを皮ごと発酵させて、グラッパを作りました。実はグラッパを作るのははじめてで、他の果物とは異なる部分が多々あります。何よりポマースにはほとんど糖分も水分もありません。そこで糖と水分を加えます。ぶどうに含まれる風味を取り込みつつ、糖分を栄養にしながらアルコールが生成されていきます。ただし、糖度も低く、また冬のため温度も低いこともあって、発酵速度はきわめてゆっくり。徐々に発酵が終わったポマースのかすが上面に固まってきた後に蒸留。収量は多くありませんが、白ぶとうらしい嫌味のないクリアな味わいのグラッパになりました。 また、その頃にはmitosayaの敷地内に点在する樹齢30年を超える白梅の花が咲き始めました。まだ多くの木々が枝だけの頃に、可憐な白い花を咲かせ、周囲に爽やかな香りを振りまく梅の花を見ると、「におい」という言葉が、元々は視覚と嗅覚の両方の意味を含んでいたことを思い出させてくれます。香りが一番強い、咲きたての白梅の花を何口かに分けて摘み取り、グラッパをブレンドしたライススピリッツにやさしく漬け込みます。日本の蒸留酒らしい繊細さと優しさをお楽しみください。