ランシオに満ちたコニャックを開封
ブランデーは当店でも人気のあるジャンルのお酒で、穀物を原料に発酵・蒸留・熟成をしたウイスキーも今は人々から求められることが多くなりましたが、果実を原料に発酵・蒸留・熟成をしたブランデーはチョコレートやシガー(葉巻)に合わせやすい個性があるので、その点でも幅広くお薦めすることがありますね。
ブランデーの中でも特定の地域でつくられるコニャックやアルマニャック、カルバドスは特に注目をされているお酒です。コニャックなどは深く知っていくとウイスキーのテイスティングコメントでもたまに使われる”ランシオ”というワードを聞くことがあると思われます。
ランシオ(Rancio)は、コニャックではランシオ・シャランテ(Rancio Charantais)やシャラント・ランシオ(Charente Rancio)というワードで話すことがありますが、とりあえずランシオで覚えておくといいかと思います。もともとランシオという言葉は、ポルトガル語に由来しており、主に熟成したポートワインの香味表現として使われていたものでした。現在は一部のウイスキーや長期熟成したブランデーでもテイスティングコメントで使用されることがあります。
・ランシオは熟成段階で様々な表現がある
ランシオの香味の特徴として熟成年数の段階で分けることがあります。だいたい10~20年までの熟成でランシオを喩えるときは、青カビチーズ・
甘い香りの花の類を指し、20~30年ほどだと木・土・森の茂みの香りやトリュフなどといった表現が喩えられるかと思います。さらに年数の経たものだと、様々な香りが複雑に絡み合い、古い家具やシガーボックス・熟したタバコの葉や熟したトロピカルフルーツのような香りが感じれれるようになると言われています。
そして今回は強烈にランシオを感じ取れるコニャックを開封しました。
ヴァラン・テルシニエ グランド・シャンパーニュ Lot 78(1978-2024)
このボトルはブランデーに素晴らしい見識を持つBAR DORASの中森氏がコニャック地方にて、入念に話し合いをしテイスティングを重ねて出会った一樽をボトリングしたものとなります。その時、中森氏はこれをテイスティングした際、”全てが飛んでしまうほどの強烈なインパクトある怪物コニャックに出逢ってしまった”と思ったそうです。ボクもさっそく一本お願いをして購入させていただき、そしてすぐに開封してテイスティングすると、”これは驚いた”とついつい深いため息をついてしまいました。
ランシオをこんなに簡単に感じられるなんて、なんで素晴らしいんだと思える一本です。是非とも深淵なる熟成の魔法を味わってみて下さい。
では、またまた。