過去になってしまう前に
周年につき開封させていただいたボトルのご紹介です。
Signatory Vintage Glenlivet 25years (1973~1998) 57.2%
シグナトリーの当時の定番アイテムでいわゆる”ダンピーボトル”と言われるシリーズです。数あるシグナトリーダンピーの中でもこのグレンリベットは特にボクの中では一際記憶に残っているボトルです。ちょっとその話をしたいと思います。
当時のボクはちょっとした反抗期のようなもので、俗にいう大手のウイスキー蒸留所はあまり興味を示さない時期がありました。このThe Glenlivetもどちらかというと避けていた銘柄の一つでした。今では最も素晴らしいと思う銘柄の一つとなっていますが。
そんな中、当時よく通ったバーでこのボトルに出会ったのがきっかけだったと思います。
”これなんかいいよ”とそこのマスターの方がお薦めして下さったのですが、ボクはあまり関心も示さずにそのウイスキーの香りを嗅いでみました。案の定、自分の好みの香りではなかったので何の気も無しにだたただその場に合わせて飲むという、今考えると自分の無知さに恥ずかしさを覚えるような味わい方をしたものでした。
何かの話に夢中になり、しばしそのウイスキーはほったらかしになったその後、再び口に含むと先ほどとは明らかに違う”何か”に味覚を支配させるのを感じました。
煮込んだフルーツの凝縮感にビターチョコのようなほろ苦さと深みのある甘さ。
いつまでも残る陶酔感にボクは改めてウイスキーの奥深さを少しだけ味わった気がしたのでした。そしてこれが大きなきっかけでは無かったのですが、少しずつビックネームのウイスキーも抵抗なく飲むようになっていきました。
このボトルを見ると当時よく通ったそのバーの雰囲気とウイスキーの面白さを教えてくれたマスターの温かみを思い出します。とてもいい時代だったのか、当時はこのシグナトリーのこのシリーズはけっこう頂いた気がします。特に記憶に残っているのがポートエレン、スプリングバンク、ボウモアにストラスミル。ブラックラもこのボトラーズで覚えた気がします。 そしてこのグレンリベットは自分にとってバースデーヴィンテージもあってか、何故かボクの記憶にとても深く刻まれているボトルとなっています。同時期にバーボンカスクもリリースされていましたがこのシェリーバットの方がすごく印象に残っています。
よければ是非一度は皆様にもご賞味いただけると幸いです。